越中の魚津城を、佐々成政が攻めた折の事。
城の者達は必死に防戦したが、攻め手に比べ城方は数少なく、次第に劣勢となり、
ついに明日は落城、討ち死にだ、と言う状況になった。
城の者達はみな、それぞれに今生の別れを交し合った。
女子供たちは嘆き悲しみ、
その哀れさは言葉にならないほどだったという。
そんな中、日没を迎えた。その時である。
城内から、多数の光の玉が現れた。
それはたちまち、天へと飛び出していった。寄せ手の者達はそれを見て、
「おお、見ろ。あんなに人魂が出る。城ではきっと死に支度をしておるぞ。」
と、さざめいた。
ところが、
この人魂を見たためか、翌朝、佐々成政は、降伏、開城とひきかえに、
城方一同の助命を認めた。
死を覚悟していた魚津城の者達は、皆喜んでこれに従った。
するとその夜、昨夜の人魂がまた、何処からとも無く現れ、
今度は魚津城の城中に戻っていった。
この事は、数千人もの人々が実際に見たと言う。
戦国時代の不思議なお話。
『戦国ちょっといい話・悪い話まとめ』 より。
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