鬼といわれた森長可には、セットのように言われる名馬があった。
この名を、”百段”と言う。
この名、金山城の石段を、百段も一気に駆け上がるので、そうついたそうだ。
さて、小牧長久手において、森長可は徳川軍の狙撃により斃れる。
彼はこのときも、この百段の上にいた。
馬上から地面に斃れた長可の首を取るため、徳川軍の雑兵が殺到した。
これに怒ったのが百段である。
この馬、徳川の雑兵たちと戦い始めたのだ。
体に二箇所も槍傷を負いながら、
森隊の者が長可の死体を回収するまで守り通し、
それを見届けると、傷を物ともせず、
豊臣軍の陣地に堂々と帰っていった。
この百段の活躍が、もう一度記録に現れる。
それはこの小牧長久手から、なんと30年後。
大阪の陣である。
長可の弟・忠政をその背に乗せ戦場を駆け回り、
主人と共に首級206を獲る大活躍をなしたとか…。
『戦国ちょっといい話・悪い話まとめ』 より。
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