長久手合戦の折、森勝蔵(長可)殿が、その場の穿鑿をされた時、
「今度の一番鑓は、山田八右衛門、千田主水の両人である。」
と定められた。
その時、千田主水進み出て、
「一番鑓は八右衛門であり、その次が某です。」
と申したため、八右衛門に尋ねると、
「その時はどのようであったか、私の周りは騒がしく、しかと覚えておりません。」
と申した。
たって尋ねられると、
「私の鑓の石突に物の触わったような覚えがありますが、一番か二番かは存じません。」
との事で、これに対し人々は、
「互いに、有り体に申しており、武士の道、殊勝である、」
と沙汰した。
『戦国ちょっといい話・悪い話まとめ』 より。
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