ある年に加藤嘉明は秀吉に従って山路を通過した。
時に凍りつくような寒さは堪え難くなり、
秀吉は嘉明に命じて酒を調達させた。
嘉明は馬槽(馬の飼料を入れる容器)を携えて民家に入り、
濁酒を持って帰って来た。
秀吉は喜んで酒を少量飲むと、その余りを付き従う将士に与えて、
「汝等も少しばかり平等に、この酒を飲め。
そのうえで残った酒があれば、私がまた飲むからな。」
と、言った。
ところが、嘉明は馬杓を使って、これを飲み尽くしてしまった。
秀吉は、たいへん腹を立てた。
それでも嘉明は平然として、まるで何も知らない人のようだった。
『戦国ちょっといい話・悪い話まとめ』 より。
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