ある風の強い、寒い夜のことである。
加藤嘉明は江戸桜田の藩邸内を見回っていた。
すると一室で若侍が二三人集まって、仲間の悪口を言っている。
嘉明は知らぬ振りをして部屋に入り、
前日獲った鴨を渡してこう言った。
「お前たちは災害の警備をしているな。
慰労として、この鴨をやろう。
これを肴に酒でも飲め。ただし朋輩を謗ってはならぬぞ。」
一同は恐れ入って、言葉もなかったという。
『戦国ちょっといい話・悪い話まとめ』 より。
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