未の年の正月、岡山に於いて物語された事である。
加藤左馬助(嘉明)殿は、常に動じない人であった。
(秀吉公が伏見に御座の時)殿中に於いて地震があった時も動じず、
また虎が朝鮮国より進上の時、虎の置かれていた大書院の縁を通る諸大名は、
虎を恐れて、皆少し退くといった体であった。
山崎甲州も気味悪く思われ、引き退こうとした時、左馬助殿を見ると、
彼は柱にもたれ、嘘眠りをして居られた。
これを見て、歯を食いしばって甲州も退かなかったと、甲州が光政様に物語されたという。
『戦国ちょっといい話・悪い話まとめ』 より。
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