加藤左馬助(嘉明)の家では、老若共に帯を後ろで結ぶことは法度であり、
前の方の脇で結んだという。
これは、急事の折には帯が解けることがあるが、後ろでは結び難く、
前の脇で結ぶ場合は、走りながらでも結ぶ事のできる故である。
また家中の士であっても、
具足兜を着すれば戦場において見知り難きものであるとして、
家中全員の具足兜、前立物まで屏風の絵に書かせ、
縅毛以下、少しも違わぬように極彩色に描かせ、
その姓名を記し、会津の城中の広間の番所より書院まで、
その屏風を何双に立て置き、諸士が互いにこれらを見知るようにさせた。
そのため、もし誰であっても具足を縅し直すか、
何であっても品の替わる事があれば、
役人までこれを届け、すると絵師がかの士の許へ行き、
詳細に見届けて最前の絵を書き直したという。
『戦国ちょっといい話・悪い話まとめ』 より。
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