時に、天正二年、加藤嘉明は十二歳であった。
同三年五月、秀吉が播州三木城を攻める時に当たり、
大雨がしきりに降ったので秀吉の戦袍が濡れてしまった。
日暮に本営へと帰った秀吉が戦袍を脱ぐと、嘉明は火を焚いてこれを乾かした。
これについて秀吉が、
「小坊は何をしておる。」
と問うと、
嘉明は、
「君公が、明日出軍される時に、用を為せるようにしようと思いました。」
と答えた。
秀吉は、賛美して、
「幼年にして既に、この注意とは、後日には名将となることであろう。」
と言った。
『戦国ちょっといい話・悪い話まとめ』 より。
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