孫六の父は、徳川家に仕えていたが、三河一向一揆で一揆軍に加担したせいで落魄し、
幼子の孫六と諸国を放浪し博労として生計を立て、
孫六も12歳のころから、その商売を手伝っていた。
そんな孫六が近江国長浜の市で馬を売っていたところ、
加藤景泰という侍が、孫六の馬を見てこういった。
「この馬はなかなかの駿馬だが、癖が強そうだな。こう癖があっては使い物にならん。」
それを聞いた孫六は、
「お侍さん。これが癖馬なもんかね。おいらみたいな子供でも乗りこなせらぁ。」
と言い、鞍も付けずに見事乗りこなして見せた。
孫六のたくみな手綱さばきを見てすっかり感心した景泰は、
自分の主君である羽柴秀吉の小姓に、孫六少年を推挙した。
その少年とは、後の賤ヶ岳の七本槍の1人、加藤嘉明である。
『戦国ちょっといい話・悪い話まとめ』 より。
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