真田幸隆は、村上義清によって真田の地を追われ、
上州箕輪に逃れて、長源寺という寺に身を寄せた。
この寺での幸隆の扱いは、決して良いものではなかったが、
寺で知客の役にあった晃運という僧が、幸隆の境遇を憐んで、
何かと世話を焼いてくれた為、
二人は遠慮のない、親しい間柄となった。
ある時、幸隆は、戯れて、このようなことを言った。
「禿坊主、お前は儂に良くしてくれた。真田を取り戻したら寺を建てお前を招こう。」
晃運も、怒ったような真似をして答えた。
「貴殿は臆病者である。はたして何が出来よう。」
そして二人は、大いに笑いあった。
のちに幸隆は、武田信玄の配下となって村上義清と戦い、これを越後に奔らせた。
旧領真田を取り戻した幸隆は、長国寺という寺を建て、
真田山と号して晃運を開山にし徳に酬いた。
『戦国ちょっといい話・悪い話まとめ』 より。
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