往来はなおさらのこと、在宿であっても、咎人が行き過ぎる時に、
目を見合わせてはならない。
罪人は死刑に迷って正気転変するので、
「あれこそ、知り合いの人だ! 罪科の次第を知っている!」
などと、妄語することがある。
その時は、役人も捨て置かずに糾明する。
もちろん言い逃れたとしても、
見聞人の口は塞ぎ難い。
主人のいる者は、これによって疑いを蒙るのである。
これは妻子や下人にも、よく言い含めておくべきことである。
およそ災難に遭うのを“時節到来”とは、はなはだ僻事である。
予め慎む心得のある人は、不慮の災難を受けることはない。
『戦国ちょっといい話・悪い話まとめ』 より。
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