高力小隼人は、若年の頃、岡崎で、徳川信康に使えていた。
ある時、信康が近習達を前に殿守にて、
「この中に猛敵の前にあえて出る者はいても、
この殿守から飛び降りる者は居ないだろうな。」
と言った事があった。
その殿守、地面から相当な高さにあった。
これを聞いた小隼人、
「ここから飛び降りることなど簡単ですが、
敵前での働きは、功を立てご褒美をいただくことが出来ます。
しかしここから飛ぶのは、体を損なうばかりで功になりませぬ。
だから飛ばないのです。」
と、申し上げた。
これに信康、
「お前の言う事は確かに尤もだが、やはり臆病が出て飛ばないのではないか?」
と、この”臆病”の言葉が聞こえるや否や小隼人、走って殿守より飛びおりた!
大怪我をした。
そして回復まで1年間ほども、かかったと言う。
『戦国ちょっといい話・悪い話まとめ』 より。
こちらもよろしく
ごきげんよう!