今の禄でさえ、身に余ると思っています☆ | げむおた街道をゆく

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徳川秀忠は、その老臣・本多佐渡守正信の事を大変尊敬しており、

彼に三万石を与えようとした。
 

ところが正信は、こう申し上げた。

「大変ありがたく存じますが、私は元はただの鷹匠に過ぎませんでしたが、

現在このようにお取り立て頂き、今の禄でさえ身に余ると思っています。

この上過分の御加増を拝領しては、
冥加恐れ入る事であります。

どうか、御加増のこと、下されませんように。」

「しかし正信よ、今のような低い禄のままでは、お前も万事不自由ではないか?」

「いえ、私は御政治を預かっていますので、天下の大名より金銀財貨が送られてきます。
それ故不足などということはありません。ですので、御加増は拝領いたしません。」

そう言うと正信は、袂から小さな壺を取り出し秀忠に差し出した。
秀忠はそれを手にしじっと眺め、
「これは誰が送ってきたのだ?」

「黒田からです。」

「そうか…。私はお前のことを羨ましく思うよ。」
秀忠はそう、戯れを言ったという。

 

 

 

戦国ちょっといい話・悪い話まとめ』 より。 

 

 

 

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→ 狸寝入り、本多正信

 

 

 

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