ある時、榊原式部大輔(康政)が、本多佐渡守(正信)を、振舞いに呼んだことがあった。
この時、板倉伊賀守(勝重)も同行した。
ここで康政が、正信に言った。
「私は頂いた敷地が狭いため、思ったように家を建てることが出来ない。
ところが、そこで菜を作る者達には、広い敷地を与えられている。
なので敷地に家を立て、菜を作らない私のような者にも、
広い敷地を頂きたいものだ。」
正信は、これを聞いて、
「殿が、菜を作る者達に好感を持ち、広い敷地を与えるのは当然のことです。
それは、今後何事が起こったとしても、自分の敷地で菜を作っている者達は、
それが必ず御用に立つからです。
敷地に大きな家を作り、菜を作らないあなた方は、
いざという時に、殿の足に縋って、たかる者というべきです。」
そう、返答したそうである。
『戦国ちょっといい話・悪い話まとめ』 より。
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