天正10年、本能寺の変。
堺にいた徳川家康は、急ぎ帰国の途に就く。
いわゆる神君伊賀越えである。
さてこの一行にあった本多正信は、家康に従う宇治の茶商人・上林政重と語らい、
彼に地元の者達百人ほどを集めさせ、木津川のあたりに控えさせた。
そして家康が近江信楽は多羅尾氏の屋敷に入ったのを確認すると、
この宇治の上林の人々に、
「徳川殿はここに入られるぞ!」
と言わせ、さらに先の百人に川の上下に篝火をたかせ、
いかにも家康の来訪を待っている、という姿をとらせた。
これに明智の軍兵も家康は宇治に入るものと思い込み、
その隙をもって家康は無事、伊賀を廻って三河へと帰りついたのだという。
『戦国ちょっといい話・悪い話まとめ』 より。
こちらもよろしく
ごきげんよう!