七将による三成襲撃事件が起き、三成が佐和山に退隠した後に、
家康が向島より伏見に入城した。
徳川家重臣の直政は、三成の伏見空き屋敷を宛てがわれ、そこに入った。
三成の伏見屋敷は玄関や広間はとても豪華なものだったが、
奥へ入ると雨漏りが酷く、障子なども見苦しかった。
そんな惨状を見るにつけ、直政の側近たちが嘲笑し厭味を言った。
「天下の治部少が、よくもこんな邸に修繕もせずに居たものじゃ。」
これを聞いた直政は、側近たちを叱責した。
「治部少は常々表にあって奥に住む事無き故に、
屋敷の始末をかようにしておいたのじゃ。
さすがの男である。
これを笑う者は、彼に及ばぬこと、千里の隔たりがある。」
『戦国ちょっといい話・悪い話まとめ』 より。
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