中でも深いのは、溝口殿である☆ | げむおた街道をゆく

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溝口外記は、禄五千石で秀吉の使番である。

 

ある時、彼は榊原康政と同座した。
溝口は直参であるために、座上について、甚だ驕る様子があった。

康政は十万石を領するといえども、末席より礼敬した。

溝口は綿帽子を身に着け、
「我は病気なり(だから防寒のために綿帽子を身に着けている)。」

と言った。
 

康政は常に彼の無礼を憎んだので、こう言った。
「各々方は、秀吉公の恩を深く蒙っている。中でも深いのは溝口殿である。」

座の人々、

「誰もが恩を蒙っているのに、溝口殿一人をお指しになるのは、理由があるのですか?」

康政、

「私は家康の家臣だが、溝口殿の如き人を扶持して当然である(自分はそれだけの大禄だ)。
それに戦功を論じれば、溝口殿は我が片手にも及ばれまい。

にもかかわらず、いま上座して傍若無人の体であるのは、

ひとえに秀吉の威を借りてのことだ。

ならば、その恩はとりわけて深いのではないかな?」

これには返答する者もなかった。

 

 

 

戦国ちょっといい話・悪い話まとめ』 より。 

 

 

 

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→ ”無”の字の旗指物、榊原康政

 

 

 

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