徳川家康の関東移封に伴い、上総大多喜の地を授かったばかりの本多忠勝が、
新領内を見回っている時、
晒し首が置かれているのが目に止まった。
「哀れな。ロクな取り調べも無しに、
打ち首にされた者であろう…せめて丁重に葬ってやれ。」
忠勝の家臣は、首を見ただけで事情を断じた主君の言葉を不審に思い、
命じられた通り首を葬った後、晒されていた罪人の素性を調べた。
すると、忠勝の言っていたように、関東攻めのドサクサに紛れ、
打ち首にされたものと分かった。
「確かに殿の言われた通りでした。
しかし、なぜ首を見ただけで事情が分かったのですか?」
「なァに、簡単だ。月代が半端に伸びていたからよ。
キチンと取調べをして、まともに刑が執行されたなら、
牢に長く居るので、月代は伸び放題になっているか、
最後の情けに散髪をしておるはずじゃ。
半端な伸び方をしているのは、牢に居たのが短いか、
粗末な扱いを受けたという事よ。
むごい真似をしたものだ。」
『戦国ちょっといい話・悪い話まとめ』 より。
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