侍には、三つの心得ておくべき事がある☆ | げむおた街道をゆく

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秀忠公が、御能を仰せ付けられ、

大名旗本の面々も見物するが良いとの上意により、各々が登城した。

御能の二番過ぎ清水という狂言の半ばで、

にわかに大地震が起こり揺れ出したので、
見物の面々は互いに顔を見合わせていた所、

まだ揺れが止まらない為、

思わず一人二人が御庭へと下り、

終いには伺候の面々のうち過半数が座敷から飛び出した。

秀忠公はまったく御騒ぎになる御様子もなく、

扇をつかいながら人々が仰天する様をご覧になられていた。

その頃、家光公はまだ竹千代君といい御年十二。

駿河殿は国千代君と言い御年十であった。

二人は秀忠公の右の御座敷脇に屏風を隔てて座っていたが、

あまりにも地震が強かったので、

竹千代君を青山伯耆守が抱きかかえ、

国千代君を御側衆が抱き御庭へと移った。

その時、竹千代君は、

「上様は来られておるのか。」

と尋ねた。

 

伯耆守が、

「存じませぬ。」
と申し上げると、

「上様が来られておらぬのに、なぜ連れ出した。」

と御手にて伯耆守を叩かれ、各々はこれに感じ入ったと言う。

秀忠公は普段から、

「侍には三つの心得ておくべき事がある。

第一に狂人闘諍、第二に地震雷鳴、第三に火事。

これら三つは不意に起こる事であるから、

その時に、どうするべきか普段から考えておけば、仰天する事も無いものだ。」

と仰せられていた。

さればこそ、この地震の時にも膝を直されることも無く、

顔色も普段通りだったという。

 

 

 

戦国ちょっといい話・悪い話まとめ』 より。

 

 

 

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→ 将軍後継者、徳川秀忠

 

 

 

ごきげんよう!