伏見城で、太閤殿が名人芸者を集められ、諸大名に見物させた。
小唄の名人の隆達を能舞台にあげて、小鼓を伴奏に唄わせることとなった。
見物者たちが小唄の隆達節では、その場にそぐわないと思ってると、
案に相違して隆達の歌唱は筆舌に尽くしがたいほど素晴らしく、
太閤殿もことのほか賞賛なさったが、
太閤、
「隆達の小唄はあっぱれではあるが、鼓が合っていない。さてどうしたものか。」
と細川藤孝に問うた。
藤孝、
「それならば隆達の歌に合わせて、藤孝が鼓をうちましょう。」
と細川藤孝が代わりに隆達の歌に合わせて鼓をうつと、
その拍子は絶妙な取り合わせであり、
太閤殿はじめ、その場に居合わせたものすべてが感嘆しきりであった。
『戦国ちょっといい話・悪い話まとめ』 より。
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