藤堂高虎は、度々三代将軍(家光)の夜話に参じた。
或夜の話の中で、高虎はこのように言った。
「将軍様であっても、計算の心得は必要欠くべからざるものです。
何故ならば、日本各国の知行高、および戦時の出師人員、食糧弾薬の貯蔵高等も、
詳細にご承知あらねばなりません。
もしそれを知らず、事実と相違した上意を仰せだされることなどあっては、
人々はそれを聞き伝えて、
将軍の無能を謗り笑い、為にご威光を損ずるに至るであろうと存ずるのです。
ですので、将軍がお心得合ってしかるべき諸統計の概要を書き連ねて、
差し上げます。」
そうして高虎は家臣の西島八兵衛に制作させた統計を、将軍に進呈したのである。
『戦国ちょっといい話・悪い話まとめ』 より。
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