慶長19年(1614)12月、大坂冬の陣の時のこと。
城の包囲に加わった伊達政宗のもとに、藤堂高虎が訪ねて来た。
「伊達殿。故太閤の恩に報い、秀頼公に馳走するは今、この時ではないか?
貴殿の意見を聞きたい。」
「何を言われる? わしは将軍家一筋に忠節する覚悟だ。
そんな相談は、無用のことよ。」
この時は、おとなしく自陣に帰った高虎だったが、
10日ばかりして再びやって来た。
「先日の件、如何お考えか? 是非にご検討あれ。」
さすがに政宗は立腹した。
「南無八幡!まだ言うのであれば、大御所に報告するぞ!!」
「さ、されば、この話は無かったことに。」
高虎がスゴスゴと帰って行った翌日、
政宗は念のために大御所・家康の陣を訪れた。
「大御所に、申し上げたき儀があり申す。藤堂和泉守、異心の疑いが・・・。」
「だ、そうだ。泉州。」
家康の呼びかけに応じ、当の高虎が陣幕の陰から姿を現した。
「・・・!」
「どうですかな大御所?それがしの申し上げた通りになったでしょう。」
「うむ。これで伊達殿の心中、明らかになった。ご両所、大儀。」
『戦国ちょっといい話・悪い話まとめ』 より。
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