小牧長久手合戦の前後の頃の話だという。
羽柴秀吉の命を受けて、藤堂高虎は敵地探索のため土工夫に変装し、
もっこを担いで、浜松城の付近を徘徊した。
すると偶然、そこを通りかかった徳川家康は、さすがに眼力が明らかであったので、
ひと目で怪しい奴と睨み、近臣を遣わして高虎の身元を尋ねさせた。
しかし高虎は巧みに空とぼけ、いい加減に応答して煙に巻、急いでそこを立ち退いた。
その後、秀吉・家康の講和が成って、家康が上洛し、大納言秀長の屋敷に宿泊した時、
高虎は接待役として初めて家康と謁見した。
そこで高虎は、
「それがしは、いつぞやの浜松御城下のもっこ担ぎでござる。」
と語った。
これを聞いた家康は、「なるほど。」と言って頷き、その後、大いに懇切にしたという。
『戦国ちょっといい話・悪い話まとめ』 より。
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