山科の櫻井林佐☆ | げむおた街道をゆく

げむおた街道をゆく

信長の野望、司馬遼太郎、大河ドラマが大好きです。なんちゃってガンダムヲタでもあります。どうぞよろしく。

 

藤堂高虎が放浪していた頃、

一時期、その身を山科の櫻井林佐の家に寄せていたことがあった。

ある日、高虎は道の途中で無礼を働いた農民を斬ってしまい、

それを見た付近の農民たちが群集して、彼を包囲した。

流石の高虎も数百の農民を尽く斬ることも出来ず、

その場を立ち退いて櫻井家へと逃げ込んだ。

 

すると群衆は後を追って櫻井家を取り囲み、形成頗る険悪となった。
しかし櫻井林佐はこの地域の名望家であったので、

百方なだめすかして群衆を退散せしめ、
高虎の生命を救った。

それから、40年余りの歳月が流れた。
藤堂高虎は伊賀伊勢30万石の国持大名となり、櫻井林佐は、依然山科の土豪であった。
高虎はその旧誼を懐かしみ、

「五百石で召し抱えるから、こちらに参ってほしい。」

と伝えた。
 

しかしこれに、林佐は、
「ご好意は、身に余って忝なく存じます。しかし、」

と、これを断った。その上で、
「ですが、そこまで思召していただけるのなら、

今後、私の子孫が零落することが有れば、
その時にお救いして下されたい。」
そう答えた。

 

高虎はこれを快く承知し、

林佐の二人の子供、利右衛門、平右衛門の両名を津城も呼び寄せ面謁し、

『申出次第、何時でも扶助すべき旨』の黒印書を渡した。

 

 

 

戦国ちょっといい話・悪い話まとめ』 より。

 

 

 

こちらもよろしく

→ 下天を謀る・異聞、藤堂高虎

 

 

 

ごきげんよう!