上杉景勝の家臣に、河津作兵衛という者があった。
彼は相撲を好み、家中の若侍などに多くの弟子を持っていたが、
彼は力量があるだけではなく、
書を読み琴を弾き、普段はまるで柔弱な人のように見えた。
彼は門人に対し、いつもこう言っていた。
「何事も、人は心を広く持たねばならない。
学ぶときは何事も、無用のことは無いものである。
自分の気力が盛んだからといって、人の気力が弱いのを侮り、
また自分が発明だからといって、
人が愚かなのを見下すなどというのは、拙い心であり、
藝の至極には至らぬものである。
たとえば、人の賢愚というのは、
人の背丈の高い低いのように目に見えるものならば、
恥ずかしさもあるだろうに、師とも呼ばれ、また上などと言われては、
己を高ぶり、終いには身の程を忘れて、
大きな不覚を取るものである。
この事をよくよくわきまえて、何事も修行しなければならない。」
『戦国ちょっといい話・悪い話まとめ』 より。
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