豪邁肝大の大将☆ | げむおた街道をゆく

げむおた街道をゆく

信長の野望、司馬遼太郎、大河ドラマが大好きです。なんちゃってガンダムヲタでもあります。どうぞよろしく。

 

上杉景勝という人は、豪邁肝大の大将にて、

その軍陣に臨むや、先陣において既に交戦し、
矢弾雨のごとく降り喚声天地を振動するばかりであっても、

身は幕中に有りて普段と変わらず睡眠を取り、

雷の如きいびきを上げるのを常としたという。

彼が豊臣秀吉に臣従し上洛した時、

数百人の一行は完全に黙し、咳の声すら聞こえず、

只人馬の足音を聞くのみであった。
 

その折、富士川を渡る際、船が小さく人多く、中流に至ってほとんど沈没せんとした。
この時、景勝怒り、舷頭に立って鞭を挙げて一揮すれば、

衆皆躍り上がるように水に飛び込み泳ぎ、
よって無難に渡ることを得たという。

景勝の厳格なることかくの如きなれば、

彼の生涯において、只一度の外その喜悦の色を見たことが無いという。
ある時、上杉家に一匹の猿があり、たまたま景勝が脱いでおいていた巾帽をかぶって逃げ、

庭の木に上り景勝に向かって3度頷いた。
 

彼はこれを見てにっこりと微笑んだ。
 

これ実に、左右の近臣達ですら、始めとも終わりとも、

景勝の笑顔を見た一生の内ただ一度の事であったという。

 

 

 

戦国ちょっといい話・悪い話まとめ』 より。 

 

 

 

こちらもよろしく

→ 不識庵以来の軍法、上杉景勝

 

 

 

ごきげんよう!