朝鮮の役が起こり、上杉軍も渡海する事になった。
秀吉も一緒に朝鮮に渡ろうとしたのだが、重臣に止められて思いとどまった。
そこで、名護屋から出発しようとする上杉軍の勇姿を見て、秀吉は景勝に歌を詠みかけた。
「上杉や 景勝色の 門出かな」
景勝の名を歌に詠み入れ、杉と影を縁語に用い、
勝利の色が見える上杉軍の門出であることだと言祝いだのだった。
すると景勝はすぐに答えて詠んだ。
「羽柴栄え 門出を祝う 家も秀吉」
先の歌にならって秀吉の名を詠み入れ、柴・門・家と縁語を用い、
門出を見送っている秀吉の家運も栄えて大吉であると祝福したのだった。
また、ある年の春、秀吉は景勝に言った。
「国許には変わった言葉もあるだろう。なにかお国言葉を入れて歌を詠んでくれないか。」
景勝はそれに答えて即座に歌を詠んだ。
「鶯よ 初音つんだぜ 聞くべいぞ その如月の 十六夜のころ」
文人としても有名な謙信や兼続の影に隠れがちだけど、
景勝の面目躍如なお話。
『戦国ちょっといい話・悪い話まとめ』 より。
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