綱輪町に、沈香屋宗有というものがいた。
香をきくこと、世に名人と称されていた。
ある時、黒田長政公が彼を召して、香を聞かせなさった。
宗有は、
「これは肥後殿が貯えなさっている「破れ笠」と号する名香でしょう。」
と判じた。
長政公は驚き、どうしてその香を知っているのかと問いなさった。
宗有が答えて言うには、
「三十年以前、伏見で女が焼いている香を聞いたところ、名香であったため、
出所を尋ねたのです。
すると肥後殿近習の士からもらった”破れ笠”という香と申しておりました。
この香は”破れ笠”に相違ありません。」
と申したそうだ。
『戦国ちょっといい話・悪い話まとめ』 より。
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