戦国最後の大戦ともいえる大坂の陣が終結した、慶長20年のある日、
京都は東山にて、このたびの戦に一応は参戦した諸将が集まって宴会を開いていました。
宴もたけなわ盛り上がってきたところで、藤堂高虎が言いました。
「今回の戦には、皆さんのような歴戦の勇が参加されましたが、
大して手柄もなかったですね。」
これをどう受け取ったのか、そのそばに寝ころんでいた黒田長政がむくりと置き上がって、
「藤堂! 聞き捨てならんな。
ガキのころから今まで、戦で後れを取ったことがないこの俺様が、
今回の戦で活躍できんかったのは、上がおとなしくしとけ言うから控えとっただけや。
そんな俺の前で軍功自慢とはいい度胸やないけ!」
と、高虎に突っかかりました。
長政がキレる理由がよくわかりませんが、
同席した皆さんはさすが長政の扱いに慣れているのか、
「まーた始まったよ、筑前は……。酒の席で野暮なこと言うなよ。まあ、落ち着けって。」
と言って、長政をなだめました。
さすがに長政もそこは引いて、高虎も華麗に流したので、
もとのいい雰囲気の宴会に戻りましたとさ。
『戦国ちょっといい話・悪い話まとめ』 より。
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