戦闘を指揮すること数百回、自ら陣頭に立つこと七十余度と言われ、
生涯不敗の伝説を残した上杉謙信公。
世は太平になり、既に伝説となりつつある謙信について、
あるとき細川忠興は、玉虫対馬と言う者に謙信の人となりを尋ねた。
玉虫いわく、
「あるとき謙信方より斥候を出したところ、
今日はよい斥候が出たと人々は口々にいい、あとになって聞いてみると、
その斥候は謙信公自身でした。」
といった。
忠興が不思議に思い、良い斥候、悪い斥候とは何によって分かるかと尋ねると、
玉虫は、「小姓をご覧になさい。」、といふ。
「その立ち振る舞いがすっかり板につき身のこなしが出来ている者と、
初心の者とはすぐにわかりましょう。斥候も同じです。
巧者か巧者でないかふるまいで分かります。」
つまり、忠興が神懸かり的な戦の天才と思っていた謙信は必ず自身の足を使い、
目で見て戦術を立て必勝の策を練っていたのだ。
これには忠興、名将と言われる人はかくあるべしものか、と深く関心した。
『戦国ちょっといい話・悪い話まとめ』 より。
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