明石浦の牡蠣殻の如き☆ | げむおた街道をゆく

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将軍秀忠の御前に、細川忠興が参上した時、秀忠は忠興に尋ねた。
「天下の政治とは、どのように考えて執り行うべきか?」

忠興はこう答えた。
「四角い器に、丸い蓋をするように執り行うのが、宜しかろうと存じます。」

これに秀忠も、

「尤もである。」

と言った。
 

また、この時は重臣たちが列待していた折でもあったので、次にこのように尋ねた。
「人はどのような者を、善人と言うべきであろうか?」

これに忠興は、
「明石浦の牡蠣殻の如きを、よき人と申すべきでしょう。」

秀忠はこの返答に大いに感じ入った。
後で秀忠は重臣たちに、

「先に忠興が言ったことを、お前たちはどのように心得たか?」

と尋ねた。
 

しかし何れも、

「何とも解りませんでした。」

と申し上げた。
 

そこで秀忠は、
「明石は世に聞こえた風浪激しい場所である。その浦に生きる牡蠣の殻は、

波にもまれ姿が良い。
人もまたそのように、様々な辛き目にあって、人にもまれたものが良い。

ということだ。」
と仰せになられた。

 

 

 

戦国ちょっといい話・悪い話まとめ』 より。

 

 

 

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→ 激情の人、細川忠興

 

 

 

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