領地替え以後。
気まずくなった隣国筑前の黒田長政のこと、
普段気にも留めていなかった。
そんな折、長政の重臣・後藤又兵衛が、主人と仲違いし黒田家を辞すると忠興が聞いた。
かねがね後藤又兵衛の武勇を聞き及んでいた忠興、
直ぐにも又兵衛には、高録で召し抱える旨を伝えたのであった。
が、又兵衛が応えて言うには、主人であった長政、
執念深い気質、追手をきっと差し向ける故、
果たして国境を越せるや否や定かでない、そのように細川忠興はきかされると、
即座の差配であった。
後藤又兵衛、細川家の封地豊前との国境に差し掛かった折に目にしたのは、
百名もの鉄砲隊を従えた甲冑姿の細川家の軍勢。
まるでこれから合戦の如き気構えでの出迎えであった。
さすがあまたの戦場を経た忠興公である、と感心しきりであった、
が、又兵衛の心中、暗雲がむくむくと浮かぶのでもあった。
『戦国ちょっといい話・悪い話まとめ』 より。
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