脇差の鞘☆ | げむおた街道をゆく

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細川忠興が、三宅亡羊という儒者に話したことである。

ある日、忠興は自宅で、師匠の利休と話をしていた。
ちょうど忠興は脇差の鞘を新調し、しかもその出来に大満足していた。
当然、利休にも見せびらかして自慢した。
が、利休は冷めた反応。
「そうそう、この間、古道具屋に古びた鞘をいくつもくくって売っておりましてな、
そのうちの一つがあまりに見事だったので、

つい買ってしまって土蔵に吊るしたままです。
この鞘もなかなかのものですが、あれには及びますまいな。」

忠興、いかに師の言とはいえ、ちょっとむっとした。
(”越中流”とまで称されるこの鞘より古鞘がいいとか、ありえん!)
だが、そうまで言われれば見てみたいのが人情。
忠興は見せて欲しいと頼み、利休宅に人を派遣して鞘をとってこさせた。

さて、やってきた古鞘を見た瞬間、忠興はコロッと一目ぼれしてしまった。
「譲ってください!」
越中流はどこへやら、その古鞘を手本として家に伝えることとした。

そこまで亡羊に語った忠興、最後にこう自慢した。
「ほら、今差している脇差の鞘も、その通りに作らせたんですよ。」

自慢癖は相変わらずの、なんとも無邪気な忠興さんだった。

 

 

 

戦国ちょっといい話・悪い話まとめ』 より。

 

 

 

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→ 激情の人、細川忠興

 

 

 

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