近習と茶坊主☆ | げむおた街道をゆく

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ある時、福島正則は、近習の武士の小さな罪を咎め、

広島城の矢倉に押し込んで、食物を与えずに餓死させようとした。
 

ところが以前、その武士に恩を受けていた茶坊主はこれに心を痛め、

密かに焼き飯を差し入れた。

武士、

「私は罪があってこうなったのだ。このような振る舞いが殿に知れれば、
私よりも罪が重くなろう。それに飯を食ったとて命が助かる訳でもあるまい。

早く帰れ。」

茶坊主、

「たとえ同じ罪に問われても後悔はしません。

私も以前死罪になりそうなときに、あなた様に助けていただきました。

恩を受けて、それを返さないのでは人とは言えません。
そのような弱気なことを言われて、

私の志を無にする事こそ口惜しゅうございます。」

武士はそれならばといって喜んでこれを食べた。
しばらくたってそろそろ死んでいるだろうと正則が矢倉に行くと、

武士は少しも衰えていない。

正則、

「だれか飯を差し入れてる者がいるんだろう!誰だ!」

茶坊主、

「私が差し入れをしておりました。」

正則、

「なぜこんな事をした! 頭まっぷたつにしてやんぞ!」

茶坊主、

「むかし罪を得て水責めにあい、殺されようとした時に、

あの方が申し開きして下さったおかげで、

今日まで思いがけず生きてくることができました。
その恩を返すため、毎夜こっそりと飯を差し入れていたのです」

正則、

「感動した!恩義を大切にする心意気に感動した!
許す!二人とも許す!」
 
そのまま矢倉の戸を開いて武士を解放し、二人の罪を許したという。

 

 

 

戦国ちょっといい話・悪い話まとめ』 より。 

 

 

 

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→ 岐阜城攻め、福島正則

 

 

 

ごきげんよう!