福島正則が、生駒親正の屋敷に遊びに行ったときのお話。
生駒家の家臣・富島玄蕃といえば、舞の上手として有名であった。
そこで正則は、玄蕃に一刺し、舞を所望した。
玄蕃が辞退しようとすると、
「オレは昔から口に出した事を引っ込めたことが無い!
所望した上はなんとしても舞え!」
玄蕃もしかたがなく、ひとさし舞ったが、正則といえば寝転がり、
腹鼓を打ちながら、それを見物していた。
玄蕃は舞い終わると、今度は正則に舞を所望した。
「わしはかつて舞などやったことが無い。」
と、断ろうとしたが、玄蕃も、
「それがしも、あなたがさっき言ったように、一言申し上げた以上、
引き下がった事はございません!是非お舞いくだされ!」
これに困った正則、仕方なく、見よう見まねの舞をやってみると、
今度は玄蕃がふんぞり返り、腹鼓を打ちながら現物した。
これに正則が怒り、何のつもりだと詰め寄ると、
「それがしは下郎でございまして、舞の見方を存じません。
最前、福島様が、この様にして私の舞をご覧なされていたので、
さては、あのように見物するものかと、このようにしたわけでございますが、
それがなにか?」
『戦国ちょっといい話・悪い話まとめ』 より。
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