清洲城主・福島正則の家来に、大崎玄蕃という銭勘定に無頓着な武将がいた。
ある時、賤しい格好をした女が、武家奉公をするために清洲に来たが、
誰も召し抱えなかった。
ところが、玄蕃は家来の反対を押しきって召し使いとして採用した。
以後、女は陰日向なく21年間働き、玄蕃も2万石の身上まで出世した。
ところが、福島家が改易されるや、家来・奉公人はことごとく退散し、
残ったのは玄蕃の家来3人と召し使いの女1人だけとなった。
「かつて2万石の身上だったワシも、いまやすかんぴんじゃわい。」
と玄蕃が自嘲すると、
女は庭石を動かし穴の中から、金5000両・銀2500枚を取り出して、
玄蕃に献上した。
「このような大金をどうしたのじゃ?」
と驚いた玄蕃に対して、
「旦那様は銭勘定に無頓着ですから、万が一のことを考えて、
旦那様の収入の一部をコツコツ蓄えておきました。
旦那様の金ですからお役立て下せえ。」
玄蕃は女の機知に驚いたが、
互いに、「金は受け取れない。」
と押し問答になりそうなので、
「ではこうしよう。銭の山を交代でひと掴みしあい、
ワシとそなたで山分けしようではないか。」
女はその提案を承諾し、玄蕃と金を山分けした。
玄蕃は後に徳川頼宣に仕官できたという。
『戦国ちょっといい話・悪い話まとめ』 より。
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