福島正則が、城を見回っている際に、
門外の石垣に槍が立てかかっているのを見つけた。
槍の鞘を外そうとしてみると、刃の根元が赤く錆びている。
これを見た正則、瞬間沸騰で怒り出した。
「こんなものは鞘を全て抜く必要無い!
武具を錆びつかせるとはなんてバカな事を!
一体誰の槍だ探し出せ!」
と、その槍を投げ捨ててしまった。
この槍の持ち主は誰あろう、”笹の才蔵”こと可児吉長の槍だった。
正則がキレてるのを知らせに来た近習から騒ぎの一部始終を聞いた才蔵、
自分の槍を投げ捨てられた事に対し、こちらも瞬間沸騰。
ダッシュで正則の元へ駆けつけ、投げ捨てた槍を拾い差し出しこう言った。
「槍の先っちょ見てみろ。」
何言ってんだこいつ?
と思いながらも正則が槍を手に取り鞘を全て取り払ってみると、
槍先の先端は見事に研ぎたててあった。
これを見た正則、さっきまで真っ赤だった顔が、今度は真っ青になってしまった。
才蔵、
「槍ってのはなぁ、刃先が大事なんだよ。」
正則「そうだな・・・。」
すっかり面目を失った正則は槍を鞘に収め、元の場所へ槍を戻し、
すごすご去っていったと言う。
『戦国ちょっといい話・悪い話まとめ』 より。
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