清右衛門を呼ぶ☆ | げむおた街道をゆく

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福島正則が帰国するときは、いつも鞆の浦に着船していた。

この時、そのまま小身の者は、木綿の衣服に着替える作法となっていた。

ある年、鞆の浦の船中において、福島正則は酒に酔っていたのだが、

突然激怒して叫んだ。

「先ほど木綿に着替えるように触れよと、柘植清右衛門に申し付けたのに、

未だにそれを触れていないようだ! 清右衛門、にくき奴!」

しかし当の清右衛門はそのような命は受けておらず、

家老なども出て、色々と詫び言を申し上げたが、

「とにかく、清右衛門に腹を切らせよ! 奴の頸を見せなければ船より上がらない!」

正則はそのように言いはった。
日は暮れに及び、清右衛門は、

「私一人のせいでこのような事になり、勿体なき儀です。」
そういうと船から町家に上がり、そこで切腹した。

こうして清右衛門の頸が届くと、それを見た正則は機嫌が直り、

そのまま高鼾で一睡した。
 

そして目が覚めると清右衛門を呼んだ。

家老たちは、最前の委細を語った。

正則はこれを聞いて肝をつぶし、声を上げて泣いたという。

 

 

 

戦国ちょっといい話・悪い話まとめ』 より。 

 

 

 

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→ 岐阜城攻め、福島正則

 

 

 

ごきげんよう!