福島正則が、士を愛した話はすこぶる多い。
家老の木造大膳(長政)が、病気の時、正則は毎日行水して裃を身に着け、
天照大神へ祈願をかけ、
「大膳をいま五年御助けおき下されば、代々神楽を献上します。」
という願書を納めて、数十日精進したのだといわれている。
その愛情の深さは、この一事でも知ることができよう。
また正則の兵の強さもつまるところ、彼が士心を得た故である。
彼に使われる者は一人として強兵でない者はおらず、
一人として忠臣でない者はいないというのは、
当時すでに世に認められたところである。
この一事は他の諸将で決して及ぶ者がいなかったという。
かの伊奈図書(昭綱)の首所望も、思うにこの心より出たのであろう。
『戦国ちょっといい話・悪い話まとめ』 より。
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