ある時、岩室萬右衛門が、広島城の番所に詰めていた時、
福島正則は他出しいていたが、夜中に帰り、門を開けさせると、つくばいの場所で、
「萬右衛門はどうして私を確認せずに、早く門を開けたのか!」
そう咎め始めた。
これに萬右衛門、
「私は殿の御声を承り、御姿を見た上で門を開けました。」
と答えた。
しかし正則、
「ならばひぢ山の番所は、どうして開けたのだ!?」
「ひぢ山の番所は何者が開けたのでしょうか?
私は少しも御番を欠かしたことはありません!」
これを聞くと、正則はそのまま通っていった。
惣じて福島正則は侍衆を叱った時、相手が心強く自分の申し分を主張すると、
『この者は理を持っているから、このように強く申すのだ。』
と思われ、逆に申し分が鈍いと、
『その身に誤りがあるからこうなのだ。』
と考えられていた。
『戦国ちょっといい話・悪い話まとめ』 より。
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