加藤清正があるとき、例によって自分自身で指揮をして、
城の堀の修復普請をしていた事があった。
そのうちに正午となり、工事の人夫達は皆、昼食に就いた。
さて清正、その人夫のうち、一人の老人の昼食を見て驚いた!
なんとその飯には、副食として焼きイワシが付いていたのだ!
「お、おぬし、いったい歳はいくつだ!?」
動揺を隠せない清正が聞くと、
老人、「ろ、六十過ぎですが…?」
「六十…。六十と言えば、公役にも家僕を出し、
自分は安逸に過ごすべき年齢だろう。
それなのに人夫として出て、魚肉を食う。
お前はそのように飲食におごり贅沢をしているから、
そのように歳を取っても体を労する事になるのだ!
口の為に身を苦しくするとはこの事である!」
なので、そのような贅沢は慎むべきだ!
と、訓戒したそうだ。
『戦国ちょっといい話・悪い話まとめ』 より。
こちらもよろしく
ごきげんよう!