女乞食☆ | げむおた街道をゆく

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加藤清正がある時、江戸に向かって東山道を上る途中での出来事。
美濃の大井という地を行き過ぎたところ、道端で盲目の女が乞食をしていたが、
大名が通るということを聞いて、清正の行列の先で、歩行の者たちに銭を乞うていた。

清正、これを馬上から見てこの乞食に、「お前は何者か?」と尋ねる。
すると乞食、自分はこうやって乞食をして、年老いた親を一人で支えているのだと、

その身の上を語った。
 

清正これを聞くと、

「さても可哀想なことだ。盲目の女の身として、年をとった親を養うとは立派なことである。
だがそれは金を得るための偽りかも知れぬ。お前たち、そのことを詳しく調べて参れ!」

と、家臣に命じ畑仕事をしている百姓たちに尋ねさせれば、

乞食の言うことは確かにその通り、
偽りないことが解った。

そこで清正は乞食に金銀の銭を少々与え、さらに供の者たちにも、
「少々与えよ。」

と言う。
 

すると彼らも一人残らず、この女乞食に百文、二百文づつ与えたため、

最終的におびただしい金銭が女乞食のもとに集まった。

これを見て清正は、

「これはいかん!これだけ銭をあの盲目にそのまま渡せば、

不埒な者がそれを強盗して、
かえって仇になるだろう。」

と、その在所の名主を召し出し、

「この金を盗人に取られぬようにして、乞食を保護せよ。」

と直に命じ、名主にその銭を渡したという。
 

これを見た人々は清正を、

「まことに慈悲深き御大名である、孝行を感じられて、乞食非人にまで、

お情け深いこと、古今稀なる大将だ。」

と、尊卑老若の区別なく感じ入ったということである。

信長にもよく似た逸話がありますが、

当時の大名に求められていた「善行」の内容が、少々見えてくる、

加藤清正と女乞食のお話。

 

 

 

戦国ちょっといい話・悪い話まとめ』 より。

 

 

 

こちらもよろしく

→ 蔚山城の戦い、加藤清正

 

 

 

ごきげんよう!