関ヶ原の戦いの後、
立花宗茂の元を辞して加藤清正に仕えた小野鎮幸が、
清正と将棋を指していた時のこと。
突如、隣の部屋にいた近習達が喧嘩を始めた。
清正、
「ちょっと俺、アイツらの喧嘩止めてくるわ。」
おもむろに立ち上がり席を外そうとする清正。
これを聞いた鎮幸は、
「殿、主君たる者がこの程度で立ち上がられてはいけませぬ。
某が何故にここに居るか。
もしもここまで押し入って来る者あらば、
不肖なれどこの老人めが取り押さえます故に、
殿は落ち着いて其処に居て下さりますように。」
静かに強く怖い顔で清正を睨んでこう言った。
清正、
「わかった。」
喧嘩の仲裁に座を立ち、
勝負を流局に持ち込もうとした清正の魂胆は見抜かれていたのである。
清正は、ただただ赤面して恥じ入るのみであったと言う。
『戦国ちょっといい話・悪い話まとめ』 より。
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