加藤清正が、名古屋城を普請中のこと。
本丸の一帯ある場所に、井戸を掘ってみたのだが、水が大層濁っていた。
このままでは井戸を使うことも出来ず、困った人々は綺麗な水が沸くようにと、
祈祷師を呼んで祈らせてみたが、一向に効果はなかった。
熊本城内に沢山の井戸を掘りまくったように、
城の井戸に関しては並々ならぬこだわりのある清正である。
困り果てて見つめる人足や部下たちの前で、彼は命じた。
「あの箱を持ってこい。」
箱が運ばれてくると、清正は皆の前でそれを開けた。
中にはぎっしりと詰まった山吹色に輝く金、金、金。
さては金を人足達に与えて励みにさせるのだろうか。
皆がじっと見守る中、清正は箱を持って井戸の前に立つと、
清正「それ!」
なんと井戸の中に金を全部投げ入れてしまった。
そして井戸の底に向かって、なにやら怪しげな呪文を唱えると、
泥水が清水変わっていった。
人々は驚き、この井戸を黄金井戸と呼ぶようになったということである。
『戦国ちょっといい話・悪い話まとめ』 より。
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