武士たる者の本意☆ | げむおた街道をゆく

げむおた街道をゆく

信長の野望、司馬遼太郎、大河ドラマが大好きです。なんちゃってガンダムヲタでもあります。どうぞよろしく。

 

大坂冬の陣、東方の寄手である真田伊豆守信之家臣の、

矢澤但馬、吐田筑後、榊原石見の三人は、元より武功の者であったので、

敵が矢鉄砲を激しく撃ちこむのも恐れず、一番に仕寄りを付けた事は、
両将軍(家康・秀忠)からも賞賛された。

この時、伊豆守の手勢が仕寄りを付けるにおいて、

非常に勇敢であったのを、大坂方の木村長門守重成も大いに感じ入り、

或る夕刻、真田左衛門佐が出郭より本城に帰った時、重成は彼に対し、
東を指差して言った。

「あそこの、紺地に六文銭の旗の陣が最初に仕寄りをつけました。

あれはあなたの一族でしょうか?
もしくは他門でしょうか?

彼らは実に、城攻めの妙を得た者達です。」

真田は答えた。
「あれは兄伊豆守の陣です。

ただいま軍兵に先立って下知している二人の若武者、
一人は河内守(信吉)といって16歳、もう一人は内記(信政)といって14歳。

どちらも私の甥であります。

亡父昌幸の余風があって、彼らも健気に働いているようです。」

重成はこれを聞くと、
「その兄弟は、普段は何色の鎧をつけているのでしょうか?

今から軍兵たちに、二人には鉄砲を用いないよう申し付けたい。」

「それは情ある言葉です。

しかし彼らは若年であると言っても、他の軍勢に先立って仕寄りを掛けるなど、
味方にとってはなかなかの剛敵です。
ご存知でしょうが、忠義のためなら親疎も言い出さないのが武士の習いですから、

私の一族だからといって、弓鉄砲での攻撃を避けるというのは考えもできません。

彼らもまた、私を見れば必ず攻撃して来るでしょう。

であれば、誰にかぎらず秀頼公の敵と見れば、席を去らずに討ち果たすべきです。
これが武士たる者の本意です。」
そう語ったという。

 

 

 

戦国ちょっといい話・悪い話まとめ』 より。 

 

 

 

こちらもよろしく

→ 真田丸・異聞、目次

 

 

 

ごきげんよう!