信幸は、遠くからこの騒ぎを見ていた☆ | げむおた街道をゆく

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慶長5年(1600)9月、真田昌幸は信州上田城において、徳川軍に十重二十重に囲まれた。
 

物見に出ていた部隊も、徳川の先鋒・牧野貞成隊の猛攻に手もなく退き、

間もなく城付近に攻め手が迫って来た。

上田城に迫った牧野隊は、空堀に飛び入り土塁を越え、城壁の前までやって来た。
と、その時、城兵が塀の上に現れ、竹の皮を下にバラまいた。

「・・・って、見えていれば何という事もないわ。構わぬ、進め!」
牧野隊は竹の皮を踏まぬよう避けてさらに突き進み、とうとう城壁に取り付いた。
と、その時、城兵が塀の上に現れ、柄杓から何かをブチまけた。

「熱っつうううううううううう!!!!!」
煮えたぎった粥をかけられた牧野隊はあわてて逃げ出したが、

一面に広がった竹の皮に滑って転んで起きてまた転んだ。
 

その間にも非情の粥爆弾は降り注ぎ、人も馬も火傷だらけになって転がりながら、

ようやく本陣まで逃げ帰った。

さて、先だって逃げた真田の物見は囮部隊で、

城主の真田昌幸親子みずから率いていた。
まんまと敵の先鋒を釣り上げ、城門まで戻って来たところで昌幸は信繁に言った。
「おまえ、まず先に入れ。」
これに対して、信繁は昌幸に言った。

「いや父上、お先にどうぞ。」
「まだケツの青い小僧がイキがるんじゃない。早く入れ。」
「年寄りの冷や水とか、みっともないですよ。早く入ってください。」

見ていた重臣の池田長門がキレた。
「うるせーッ!こんな時にくだらねえ親子ゲンカしてんじゃねえ!早く入れ!!」

池田がムリヤリ昌幸の馬の口を取って引き入れ、続いて信繁も入城した。

真田信幸は、遠くからこの騒ぎを見ていた。
「敵が後ろに来てるのに、何やってんだアイツら・・・。」

信幸は馬に飛び乗った。
 

重臣の祢津らは、驚いてこれを止めた。
「な、何をなさっておられるか!」

「いや、あのバカどもの仲裁をだな・・・。」
「家康公への忠節を水に流すおつもりか!」

「・・・・・・。」
信幸、家族の危機を前に、何か大事なものが飛んでしまったらしい。

「気でも狂われたか?!」
「それなら、最初から東軍と西軍に別れなきゃよかったでしょ!?」


信幸は落ち着きを取り戻し、陣中に戻った。

 

 

 

戦国ちょっといい話・悪い話まとめ』 より。

 

 

 

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ごきげんよう!