人間、慌てると☆ | げむおた街道をゆく

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信長の野望、司馬遼太郎、大河ドラマが大好きです。なんちゃってガンダムヲタでもあります。どうぞよろしく。

 

聚楽第に諸大名が伺候していた当時、黒田家では賭博はご法度だった。
ところがお分かりと思うが禁じられていてもやる奴はやるということで、
黒田家の家臣・桂菊右衛門はその夜博打で大勝ちして、

羽織に包んだ戦利品片手にほくほくと朝帰りの家路を辿っていた。
 

ところがはっと気が付く、

ありゃこの道は大殿が仕事に出る時に通る道ではなかったか。
 

鉢合わせになったりしたら嫌だなあ…そう思いながら進んでいると、
悪い予感は当たるもので、角を曲がった所でばったり如水と会ってしまった!
ここで何某慌てたのなんのって、思わずこう叫んだ。
「それがしっ、博打の帰りではございません!」
ヤッチマッター!
 

如水はその場ではなにも聞かなかったように通り過ぎたが、桂は後悔した。
あんなことを言ったらそりゃあバレるに決まってる。

俺はもう切腹だ。
家でふさぎこんでいると事情を知った朋輩も、

そりゃお前切腹だよと沈痛な表情で見舞いに訪れる。
もちろん明日の命も知れぬとあっては金どころではなく、

戦利品の包みはその辺に放置され、中身も確かめないままであったが、
当の如水はそれを聞いて大笑いし、

「よしよし勝ったか、まあ勝ったところで打ち止めにしておけ、

いいことの後は悪いことがあるぞ。
今朝みたいなアホなことを言い出すのも法度を恐れるあまりのこと、
そんなに大事と思うなら今度からどんな法度も破らぬようにすることだ。
今回は許すがその内身代を、

擦り切らせたなんて話を聞いたら今度こそ罰を与えるぞ。
とにかく博打に限らず、無駄遣いしたりして擦り切らないように気をつけろ。」
 

如水は、この調子で世知に長けて、落ち度があっても厳罰に処すことはなく、
相手に非を悟らせ機会を与えたので、非常に仕えやすかったそうだ。

 

 

 

戦国ちょっといい話・悪い話まとめ』 より。

 

 

 

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ごきげんよう!