天正五年、北上する島津軍の勢いに遂に抗し切れなくなった日向伊東氏。
豊後を本拠とし、北九州一円を支配する大友宗麟の元に逃げ込んだ。
宗麟は、伊東氏救援を名分に日向出兵を決定する。
しかしその裏には、旧来の寺社勢力が強く、
キリシタンとしての信仰を存分に全う出来ない豊後への苛立ちがあり、
子供に家督を譲った後は日向を本拠として、
この地にキリシタン王国を作ろうという計画があったのである。
そんなモノだから軍の門出、出兵の儀も先例を見ないモノとなった。
これから出陣する将兵を率いて柚須原八幡に参拝した宗麟。
「来るべき戦の勝利を願って、八幡の神に矢を進上いたそう!」
声高にそう言うや否や、弓に矢を番え、社壇に向かって射ち込んだ。
付き従った将兵にも同じコトをするよう、強制したので、
八幡の社壇はハリネズミのようになった。
コレを見ていた人は皆、
「あ、ダメだこりゃ。滅ぶ、大友絶対滅ぶ。」
と噂し合い、果たしてその通り、耳川の戦いで宗麟は大敗を喫する。
これ以降、ある者は龍造寺に、ある者は島津へとなびき、
大友氏の勢力は自壊して行く事になるのである。
『戦国ちょっといい話・悪い話まとめ』 より。
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