ある時、信長が家来に対して、
「槍の柄は長いのと、短いのとどっちが有利か。」
と質問した。
この質問に対して、
上島主水は「短いのが有利。」、羽柴秀吉は「長いのが有利。」と答えた。
双方の言い分を聞いた信長は、
「双方に足軽50人を付けて、3日間の猶予をやる。
4日目に両者で模擬戦をやって、どっちの言い分が正しいか確かめよう。」
と言った。
主水は、早速50人の足軽を集めて、
短い槍で長い槍に打ち勝つ方法を伝授し、朝から晩まで猛特訓をした。
他方秀吉は、集まった足軽50人と飲めや歌えやの宴会三昧で、
一向に稽古をしなかった。
そして、4日目の模擬戦当日となった。
馬場の東西に主水の短槍足軽50人と、秀吉の長槍足軽50人が陣を作る。
試合開始の太鼓が鳴るや否や、
秀吉隊は素早く3隊に分散して主水隊に襲い掛かり、
リーチが大きい長槍を振るって敵をなぎ倒し突き伏せて、
勢いに圧倒された主水隊の足軽は猛特訓で身につけた槍術を使う間もなく、
勝負は決してしまった。
試合後に信長は、
「個人戦なら主水の短槍が有利であろう。
しかし、集団戦なら秀吉の長槍が有利である。
個人戦で勝つ工夫をした主水も集団戦で勝つ工夫をした秀吉も、
双方の心がけはあっぱれである。」
と言って、双方に褒美を与えたという。
『戦国ちょっといい話・悪い話まとめ』 より。
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