尾張統一半ばの織田信長は、名目上の主君として斯波義銀を立てていた。
今川義元の勢力浸透を食い止めるためか、謀略を廻らし、
三河の豪族である吉良義昭と斯波義銀の同盟締結を図ろうとした。
ともに足利一族中、一、二を争う家格の名族である。
やがて、双方の話がまとまり上野原(現在の愛知県豊田市・安城市あたり)で、
両者対面の儀を執り行うこととなった。
その当日、斯波・吉良双方の軍勢が上野原に到着、一町ほど隔てて向かい合った。
義昭・義銀ともに床几に腰を据えて、さあ御対面!
義昭「・・・・・・」
義銀「・・・・・・」
両者とも己の家格が相手より上と考えていたため、席次を巡って対立があった。
双方とも頑固に譲らなかったため、一応、対面の約束地まで来たものの、
どちらも動くに動けなかったのである。
結局、互いに十歩ほど前に出たものの、その後は睨み合ったまま動かず、
挨拶も引き出物の交換も何もなく散会となりました。
『戦国ちょっといい話・悪い話まとめ』 より。
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